オンライン診療という選択肢を増やしたい。小児科×オンライン診療の新たな取り組み

ときえだ小児科クリニック
時枝 啓介 院長/小児科、喘息・アレルギー科、小児在宅診療

コロナウイルスの感染拡大に伴い、病院へ行くことに不安を覚える患者さんが増えています。 特にお子様の場合は、何かを触った手で口元を触らないといった感染予防が順守できない事も多く、不安に感じる親御さんは多いと考えられます。 2021年4月現在、コロナウイルスに対する特例として今までは認められていなかった方へのオンライン診療が可能となり、特に小児科領域での活用が期待されています。 ここでは、いち早く小児科領域でのオンライン診療に取り組み、病児保育やアレルギー相談でもオンラインを活用しておられるときえだ小児科クリニックの時枝啓介先生にお話を伺いました。

現在のオンライン診療の取り組みを教えてください

主に再診の方に対して、オンライン診療をご提案しています。
慢性疾患の方を診察し、体調に変化がないことを確認したうえでお薬を処方しています。 基本的には外来診療で実施することが多いですが、在宅診療でも活用しています。 皮膚症状がある方に対して皮膚科の専門医に往診に行ってもらうことがあるのですが、皮膚科の先生は普段の患者さんの様子や栄養状態等を十分把握しているわけではないので、密な連携が求められます。そこで、皮膚科の先生が訪問するタイミングにあわせて私がオンラインで参加するようにしています。直接私が行くのは時間の都合上難しい事もありますが、オンラインだと時間を気にせずに行うことができます。患者さんも、普段診療している私が参加する事で安心すると言ってくれますし、私も皮膚科診察の様子をみられるのは次回以降の診察に活かせるので非常に有用だと考えています。

 初診の方に対しては、発熱外来の運用で使っています。
 事前にご連絡を頂いた際、YaDocのアプリをインストールしていただき、オンラインで事前に検査のご説明をしています。 実際に検査のために来院した際には事前の説明が済んでいるので、車内でお待ちいただき検査(車内で唾液を自己採取)をします。接触する時間を少なくし、感染拡大を防止することができると考えています。

検査結果のお話もオンライン診療で行っています。 また、私は病児保育の運営もしているのですが、病児保育室と診察室をオンラインでつなぐという取り組みもしています。病児保育室でお子さんの状態変化が見られた場合にオンライオン診療でリアルタイムに医師が対応できるので職員(保育士、看護師)も安心して仕事ができると好評です。病児保育室をご利用なさっている親御さんも絶えず医師の監督のもとに預かってもらえるので安心されています。
 

オンライン診療を始めようとおもったきっかけはなんだったのでしょうか?

一番は、親御さんの不安に寄り添うためでした。
コロナウイルスの感染拡大が話題になり、通院に不安を覚えるご家族の声をよく聞いていました。 何かできないかと考えたとき、オンライン診療を知りました。

 通院不安に対しては、長期処方を行い1か月ごとの診察を3か月ごとにする事などがよくあげられますよね。もちろん患者さんの状態にもよりますが、私は3か月ごとの診療よりオンラインを組み合わせた毎月の診療の方が良いと考えました。喘息等は特に季節による体調の変動が大きく、3か月おきにするともう季節が変わってしまいますよね。細かく体調を拝見することで、きめ細やかな診療ができると考えているため、オンライン診療の実施に踏み切りました。

オンライン診療ではなく、電話でも良いのではないか?という意見もありますが、やはりオンラインの方が断然いいです。 最も重要な点は声だけで果たして本人確認を確実にできますか?ということです。オンライン診療なら初診でも画面上でID確認できますし、再診の患者さんなら顔を覚えていますので一目瞭然です。患者さんにとっても診察する医師の顔を確認したいと思いますよ。小児の場合、「様子(表情)」「機嫌」というのは診察をする上で非常に重要です。電話だけだと視診ができないので、しっかりとした診察を行うことができません。

またオンライン診療では毎日の状態記録(喘息日誌)やコントロール状態の評価(コントロールテストシート)を見て状態を確認することが可能です。アトピー性皮膚炎の患者さんの診察では電話では全く不十分ですがオンライン診療ですと皮疹の状態を確認できるため十分に必要な診療情報が得られます。また電話だと1対1ですがオンライン診療ですと診察室同様に親子同時に会話が可能です。聴診が出来ない事は今後の技術の発展に期待したいところではありますが、患者さんの話をじっくり聞いて問診をするという診療の基礎が徹底できていれば問題は少ないと考えています。小児科の分野では、今お話ししましたアレルギー疾患、夜尿症、不登校等や小児心身症等オンライン診療が好都合な疾患が多く存在すると思います。
 

オンライン診療の導入にあたり、工夫した点や苦労した点を教えてください

当院は小児科なので、実際にアプリを操作するのは親御さん世代になります。デジタルに慣れ親しんだ世代とは言え、初めてのアプリをインストールするのは難しいと感じる方がいるかもしれません。 なので、私が診察室でオンラインの提案をした後は、待合室で実際にアプリをインストールしていただきます。待合室内で当院のスタッフと試しにビデオをつないで、問題なく操作ができることを確認できてからお帰り頂くこともあります。
説明にはメーカーが用意している資料とは別に、院内でも案内用の資料を作る等、使っていただきやすいように工夫しています。

 もともとは病児保育室運用と在宅診療用でしたので、一般外来診療での予約等のフローを作るのは少し大変でした。患者さんをお待たせせず、しっかりとオンラインの価値を感じていただくために当院のスタッフとも相談していろいろ決めました。今は、外来診療の中で予めオンライン診療を受け付ける時間を定め、予約が入っていたら私が電子カルテ上から患者さんに発信しています。 運用構築に際してはスタッフとたくさん話し合いましたが、「患者さんのためにオンライン診療を進めていくんだ」と私が熱弁をふるったら、みんな納得していろいろ案を出してくれましたね。

 また、ホームページの作成には力をいれました。 患者さんは、ホームページを見るときに、「小児科」と「地域」で検索しないと思います。「心配なこと」や「相談したいこと」を具体的なキーワードとして検索しますよね。そこで当院が力を入れる「喘息・アレルギー疾患」「小児在宅診療」「病児保育室」「オンライン診療」の4つを大きなキーワードとして大々的にHPをリニューアルしました。今やほとんどの方がネット検索して病院を探す時代です。 HPリニューアルして今春はアレルギー疾患での初診患者さんが明らかに増えました。しかも10km以上の遠方からも来院されるようになりました。
有効なHPとオンライン診療の連動が今後広く認知してもらうためにも重要ではないかと思います。それ以外のポイントとしてセキュリテイーの観点からオンライン診療システムは重宝しています。もともと院内の電子カルテシステムは(ウイルス侵入のリスクのある)外部のネットとは接続していません。YaDocのシステムを使うことで安全に保険証等の個人情報確認ができることも助かっています。Faxやメールで重要な個人情報である保険証を送ることに躊躇される患者さんがいらっしゃいますから。
 

今後の展望について教えてください

今後もオンラインの取り組みは広げていきたいと考えています。
今回、保険診療でオンライン診療が認められたことは非常に大きな出来事だととらえています。新型コロナウイルスに対応する臨時的措置ということですが、政府は初診にもオンライン診療を取り入れる方針ですのでコロナが収束しても元には戻らないと考えた方がよいかと思います。時限措置で終了するのは「電話による電話再診等」の措置のみと考えた方がよいでしょう。ですから今後はオンライン診療システムのみがオンライン診療を行う条件になるでしょう。そもそも患者さんが「オンライン診療」の便利さを実感して、また大きなトラブルが起きていない現状を考えるとこの流れを止めることは難しいと思います。

日本の医療には「フリーアクセス(誰でも好きな医療機関を選べる患者さんの権利)」という特徴があります。そうなると極端なことを言うと近隣の患者さんでも評判の良い、オンライン診療を行っている遠くの医療機関に流れてしまう現象が起きることになります。年配の方も一人1台スマホを持ち活用する時代です。あらゆる年代、どの診療科目でも避けられない事態と考えた方がよいかと思います。オンライン診療の保険診療収載はそれだけ大きな「医療産業革命」の分岐点だととらえるべきではないでしょうか。

また、当院では自費でのオンラインアレルギー相談も始める予定です。 理由は、比較的遠方からアレルギー相談で来院される患者さんが増えてきたことです。近隣にアレルギーを専門とする小児科がないという事でした。こういったことにもオンライン診療は有用ですので、価値を届ける取り組みをどんどん行っていきたいです。
 

 

今、YaDocを導入してみての感想をお聞かせください

私が数あるオンライン診療システムの中からYaDocを選んだ理由は、セキュリティに対しての安心感でした。厚生労働省がだしているガイドラインにも準拠しており、安心して患者さんにお勧めできます。
操作性で困る事も特になく、患者さんからは「やってよかった」という声が聞かれます。 また他社に比べて医療機関の機器使用料金が良心的に設定されているのも有難いです。

オンライン診療の普及にはまだ時間がかかると思いますが、私としては何でもっと普及しないんだろう?と思っていますね。考えれば考えるほどに活用の幅は広がるので、患者さんの利便性をもっと追及していきたいと思います。

小児科でのオンライン診療を精力的に取り組む時枝先生からお話を伺いました。 今後も、先生の取り組みを発信していきたいと思います。 時枝先生、ありがとうございました。
 

YaDocの導入、および臨床における利用は、各医療機関の医師の判断によるものです。