「無理をしない」ことが継続の秘訣。 スマホアプリを利用して行う栄養食事指導

南糖尿病臨床研究センター 理事長・センター長 前田 泰孝 先生
南昌江内科クリニック 管理栄養士・糖尿病療養指導士 田村 あゆみ 先生

外来

最近は様々なスマホアプリを用いて、自己管理をする患者さんも少なくなく、デジタルツールを上手く利用することで療養指導に効果を上げているケースも数々学会で発表されています。さらに、2020年の診療報酬改定では、栄養食事指導に情報通信機器を使うことが評価対象となり、指導方法の選択肢が広がります。
ここでは、南昌江内科クリニックで実施されているスマホアプリを使った栄養食事指導に焦点を当て、南糖尿病臨床研究センター長の前田泰孝先生と管理栄養士の田村あゆみ先生にお話をうかがいました。

スマホアプリという選択肢

現在「YaDoc」を使って食事管理をしている患者さんは、20名ほどです。従来のやり方では続かなかった患者さんなどに、スマホアプリでの食事管理を勧めたところ、興味を持ってやってもらえたので、食事管理の選択肢として取り入れています。

南糖尿病臨床研究センター 理事長・センター長 前田 泰孝 先生

患者さんには様々なタイプの患者さんがおられますし、準備期・関心期など行動変容のステージによってもアプローチは変わりますが、決して無理にさせることはありません。あくまでも、患者さんが続けやすい選択肢の一つとして提案しています。

できることから始める

写真が面倒でなければ、スマホアプリで記録する方法もあるよと、提案します。
このとき患者さんが良い反応をしない場合には、主に2つの原因があると思っています。
一つは、見られたくないということ。もう一つは、利点を感じないということ。
前者には、「歩数だけでも送ってみませんか?」「体重から始めてみますか?」など、なんでも良いので、できそうなところから始めるように提案します。

南昌江内科クリニック 管理栄養士・糖尿病療養指導士 田村 あゆみ 先生

後者には、日記のつもりでつけるのはどうでしょうかと提案しています。
また、最初のハードルを下げるために、毎日記録できなくても、飛び飛びでもいいとも伝えています。また、患者さんが記録すると、こちらの画面ではどのように見えるのかを見せることもあります。見ると安心するようです。​​​​

「褒める」コミュニケーション

「YaDoc」にはメッセージ機能がありますので、記録に対して、週に1回コメントを送っています。基本的に褒めて、必要であれば一つ改善点を入れる感じでしょうか。本当は日々の記録に対しても何らかの反応があった方が良いと思いますが、こういうところは、今後はAIなどでカバーできてくると良いと思います。スタンプなどもそういう意味では良いと思います。ただ、食事指導を含むコメントは、患者さんの生活や仕事なども把握した上で、総合的にコメントすることもありますので、こちらの負担も考慮して、週に1回程度できればと思っています。やはりお互いに無理をしないことが大切です。

オンライン栄養食事指導の可能性

「YaDoc」は、オンライン診療システムという側面も持っていますので、2020年から診療報酬で評価が付くオンライン栄養食事指導には打って付けのシステムと言えます。
ただ、誰にでも出来るようになるには、時間を要すると思っています。例えば、患者さんによっては、上手くつながらない時など、何が原因かわからず、つながるまでに時間のロスをしてしまい、後の予定に影響を出してしまうことも想定されます。
また、対象とする患者さんは、対面の指導でもしっかりとコミュニケーションを取れる方でないと難しいと思っています。
ただ、コミュニケーションの選択肢としては、これから増えてくるのではないかと思いますし、動画による指導(例えば調理方法)などもやりやすくなり、指導の幅が広がることも期待できます。

個人に合わせた最適な指導を提供

栄養食事指導はカウンセリングだという気持ちで行う必要があると思います。個人に合わせて取り組むことで患者さんの受け入れが良くなり、実施しやすくなります。そのために、栄養士はたくさんの手段をもっていること、そしてお互いが無理をせず継続していける方法を常に模索していくことが大事だと考えています。

YaDocの導入、および臨床における利用は、各医療機関の医師の判断によるものです。