オンライン診療についての措置まとめ(当社見解)

新型コロナウイルス対策のため、医療機関でオンライン診療を導入するにあたり必要と考えられる情報をまとめています。

新型コロナウイルス拡散防止対策のため、電話・情報通信機器を用いた診療(以下、オンライン診療)を実施・検討される医療機関様向けに必要と考えられる情報をまとめました。(2020年5月15日時点) 

※ 5月15日時点の弊社による原文の一部抜粋及び解釈です。 掲載情報はその内容の正確性を保証するものではありません。末尾に参考資料として掲載している原文をご確認下さい。

1. はじめに

新型コロナウイルス流行期においては、医療者及び来院患者の感染リスク、既存患者の受診行動の抑制などによって、従来の方法だけでは患者さんへ十分な医療を提供できない事態になりつつあり、新たな社会的危機として認識されています。

厚生労働省より令和2年4月10日に発出された事務連絡「新型コロナウィルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取り扱いについて」(以下、4月10日事務連絡)では、初再診における電話や情報通信機器を用いた「遠隔」での診察を認める大胆な規制緩和がなされていると受け止めています。また、先に述べた今般の情勢下、遠隔診療の活用は危機を乗り越えるに有効な手段であると考えています。

本ガイドは、電話・情報通信機器の導入を検討、もしくは運用を開始されている医療機関を対象に、スムーズな導入やより一層の有効活用のため、弊社が独自に整理した情報を広くお伝えすることを目的としています。

  • ※ 本ガイドは、公的機関から公表された情報を元に整理しておりますが、整理にあたり弊社独自の解釈及び当社疾患管理システムYaDocの運営を通して集積された独自の知見が含まれていることにご留意下さい。

2. 概要

オンライン診療の適応に際しても、臨床的・医学的判断に基づく適応・不適応の判断、患者さんへのインフォームド・コンセントが重要です。また、対面時と比較して医師・患者双方の「本人確認」、必要に応じた「対面診療への移行体制」に配慮する必要があります。

4月10日事務連絡の概要は以下の通りです。

4月10日事務連絡の内容についてすでに把握されており、運用の実際に関する情報をご覧になりたい方は以下を参照ください。

可能になったこと

  • 医師の判断により初再診とも、「電話」「情報通信機器」を用いた遠隔診療が可能です。 ただし、初診の場合は制限・条件があります(詳細はこちら)。
  • 対象とする疾患についても、医師の判断により決定できます。

留意すべきこと

  • 患者さんの基礎疾患の把握に努めてください。 基礎疾患が把握できない場合、制限・条件があります。(基礎疾患を把握する方法の例はこちら
  • オンライン診療の適応には、事前に患者さんへ説明と承諾が必要です。 説明内容は診療録(カルテ)に記載する必要があります(詳細はこちら
  • 医療者・患者とも、遠隔診療時にお互いに本人確認が必要です。 
    (医師の本人確認方法はこちら / 患者さんの本人確認方法はこちら

その他

  • 4月10日事務連絡が廃止となった場合、電話・情報通信機器を用いたオンライン診療は対面診療に戻す必要があります。(3か月ごとに見直すとされています)
  • 電話・情報通信機器を用いた遠隔診療を行っている医療機関は厚生労働省が公表します。(厚生労働省の公表ウェブサイトはこちら
  • 実施した遠隔診療の内容は、自治体に報告する必要があります。(初診の場合のみ)
  • 従来のオンライン診療は、令和2年度診療報酬改定時の内容になります。

3. 診療報酬点数

【新設】初診料(新型コロナウイルス感染症・診療報酬上臨時的取扱)


初診(診療所であって院外処方の場合)

 

対面診療

コロナウイルス対策の臨時的な措置

電話

情報通信機器

すでに医療機関で診療継続中の新規疾患の初診

初診料

288点

-

-

-

初診料
(新型コロナウイルス感染症・診療報酬上臨時的取扱)

-

214点

214点

73点
(電話等再診と同じ点数)

処方せん料

68点

68点

68点

68点

合計

356点

282点

282点

141点

  • ※ 臨時的な措置において電話や情報通信機器を用いた診療を行った場合についても、乳幼児加算、時間外加算、休日加算、深夜加算、夜間・早朝等加算     の算定が可能(厚生労働省・事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その20)」より)

【新設】慢性疾患の診療(新型コロナウイルス感染症・診療報酬上臨時的取扱)


再診(診療所であって院外処方の場合)

診療報酬

対面診療

従来のオンライン診療※1

コロナウイルス対策の臨時的な措置

電話

情報通信機器

再診料

73点

-

73点※2
(電話等再診※3

73点※2
(電話等再診※3

オンライン診療料※4

-

71点

-

-

処方せん料

68点

68点

68点

68点

医学管理料

特定疾患療養管理料など※5

225点

100点

-

-

医学管理料※6
(新型コロナウイルス感染症・診療報酬上臨時的取扱)

-

-

147点

147点

合計

366点

239点

288点

288点

  • ※1 令和2年度診療報酬改定に基づくものを指します。
  • ※2 臨時的な措置において電話や情報通信機器を用いた診療を行った場合についても、乳幼児加算、時間外加算、休日加算、深夜加算、夜間・早朝等加算、明細書発行体制等加算の算定が可能です。(厚生労働省・事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その20)」より)
  • ※3 電話・情報通信機器を用いた再診は「電話等再診」となるため、従来のオンライン診療料の算定上限は適応されない
    (非適応)「一月あたりの再診料等(電話等再診は除く)及びオンライン診療料の算定回数に占めるオンライン診療料の割合が1割以下であること。」
  • ※4 オンライン診療料の算定時にシステム利用料を徴収可能です。
  • ※5 該当する管理料は「特定疾患療養管理料・小児科療養指導料・てんかん指導料・難病外来指導管理料・糖尿病透析予防指導管理料・地域包括診療料・認知症地域包括診療料・生活習慣病管理料・在宅自己注射指導管理料」です。
  • ※6  4月10日事務連絡で規定された時限措置によるオンライン診療開始前から診療計画などに基づいた療養上の管理を行い、医学管理料(※1)を算定していた患者に対して、引き続き当該診療計画に基づいた管理を行う場合に算定されます。

4. 時限措置詳細

4.1 初診の場合の制限

  • 本時限的措置を用いたオンライン診療による初診を実施し、次回もオンライン診療を行う場合には、再度「初診」のルールに基づく必要があります。
  • 向精神薬、麻薬の処方はできません。
  • 基礎疾患が把握できない場合には、以下2つの制限が課されます。
  1. 処方日数は7日を上限とする
  2. 「ハイリスク薬」は処方不可
    ハイリスク薬(薬剤指導管理料1に該当する薬剤)

    抗悪性腫瘍剤・免疫抑制剤・不整脈用剤・抗てんかん剤・血液凝固阻止剤(内服薬)・ジギタリス製剤・テオフィリン製剤・カリウム製剤(注射薬)・精神神経用剤・糖尿病用剤・膵臓ホルモン剤・抗HIV薬 

4.2 基礎疾患の把握方法

  1. 過去の診療録(カルテ)の参照:
    初診時における診察券や患者ID・カルテ番号で確認します。
  2. 診療情報提供書(紹介状)
    別の医療機関から紹介を受けての初診の場合、紹介状を確認します。
  3. 地域医療情報ネットワーク(EHR)
    EHRを活用し、診療情報を確認します。
  4. 健康診断結果など
    健康診断や検査を受診し「受診勧奨」となった場合、結果を確認します。 

4.3 患者さんへの説明内容

  1. ​​​適不適・リスクの説明と同意
    • 診療録(カルテ)への説明内容記載:
      適していない症状や疾病/生ずる恐れのある不利益/急病急変時の対応方針など
    • 従来指針(オンライン診療の適切な実施に関する指針)の遵守:
      オンライン診療適応判断の前に、情報提供と合意が必要と解釈されます。
  2. 必要時における対面診療への速やかな移行
    • あらかじめ承諾を得た他医療機関への紹介は可能:
      日常的に通院・訪問による対面診療が可能な患者さん(概ね30分圏内)である条件は変わらないと解釈されます。

4.4 本人確認方法 

pt.jpg
患者さん側

(1)被保険者証による保険給付の受給資格確認
  • FAXによる被保険者証の写しの送付
  • メールなどによる、被保険者証を撮影した画像データの送付
  • 電話による場合で、上記いずれも困難な場合は以下を口頭で確認

    ・氏名
    ・生年月日
    ・連絡先(住所、電話番号、勤務先など)
    ・保険者名
    ・保険者番号
    ・被保険者記号番号

  • ※ FAX・画像データ送信による場合でも、最低限これらが確認できる必要があると解釈されます。
dr.jpg ​​​
医師側

(1)顔写真付き身分証明書による本人確認

以下のいずれかを患者さんへ提示します。

・運転免許証
・運転経歴証明書
・パスポート
・マイナンバーカード
・在留カード
・特別永住者証明書
・その他公官庁が顔写真を貼付した書類​​

(2)顔写真付き身分証明書による本人確認

「医師の資格を有していることを証明することが望ましい」との記述から、必須ではありませんが、医師資格の提示が望ましいです。

「医師資格証(HPKIカード)」による、本人確認と医師資格提示の同時実施を想定していると解釈されます。​​

  • ※ 「互いに行うこと」とあるため、患者さんに対しても医師本人であることの確認を求めていると解釈されます。​​

 ​​​​​

200410.jpg
より詳細な情報をご覧になる場合はこちら
  • 【注意事項】2020年6月7日時点の当社による解釈です。掲載情報はその内容の正確性を保証するものではありません。本コンテンツ「5. 参考」に参考資料として掲載している原文をご確認下さい。

資料ダウンロード [pdf / 1.4MB]

 

5. 事前準備

新型コロナウイルス感染症対策による臨時的な措置において、医療機関で運用を開始する前に必要な各準備の一覧になります。

準備事項

従来のオンライン診療

コロナウイルス対策の臨時的な措置

電話

情報通信機器

厚生局への届出

不要

不要

オンライン診療システムの導入
(汎用サービスを含む)

不要

全体の運用方法の確認

患者さんへの案内方法と予約方法の確認

処方せん・処方薬の受け渡し方法の確認

患者さんの支払い方法の確認

診療計画書の作成

不要

不要

実施状況調査票の提出

不要

疾患管理システム YaDocを活用した場合のオンライン診療の流れ

5.jpg

5.1 予約方法の準備

5-1-1.jpg
  1. 電話で予約受付

従来と同じ対応になります。医療機関側、患者さん側とも従来と同じやりとりになりますので、違和感なく簡便に導入できます。

5-1-2.jpg
  1. オンライン外来枠の設定

アプリからの予約をする場合、オンライン外来をする曜日・時間などを予め絞り込んで設定する方法もあります。

新患・再来の別や、担当医の別に分けて設定することも考えられます。 また、電話で予約を受け付ける場合でも活用可能です。

5-1-3_1.jpg
  1. 医療事務・メディカルクラークとの連携

再来予約の場合、事務方と連携することで、診察終了後の支払い方法の案内や次回の来院予約を事務方が引き継ぐ運用もあります。(診察室と外来受付の2箇所にYaDoc端末を設置すると、よりスムーズな連携が可能です。)

例)対面での外来診察後の対応を、ビデオチャットを用いて行う運用
  • 診察終了時に事務方から再度コールがある旨を、患者さんへ伝える
  • 事務方が引き継ぎ、患者さんへ再度コールする
  • ビデオチャットで支払い方法を説明し、次回の来院予約を調整する
  • 支払いの確認、処方せんの郵送

5.2 決済方法の準備

5-2-1@4x-80.jpg
クレジット決済

YaDocをご利用の場合は、STORES請求書決済(旧 Coineyペイジ)との連携が必要です。

  • ※ その他、キャッシュレスサービス(PayPalなど)と連携することでも運用が可能です。
5-2-2@4x-80.jpg
銀行・郵便振込払い

処方せん・医療費明細書・請求書(振込先)を郵送します。

口座自動引き落とし

口座自動引き落としのご利用も可能です。(あらかじめ各銀行の口座自動引き落としサービスへの申し込み・契約が必要になります。)

5-2-4@4x-80.jpg

次回来院時にまとめて精算
5-2-5.jpg
代金引換払い(薬局の場合)

※別途、配送業者の手配・契約が必要になります。 ​​

​​5.3 処方せんの取り扱い準備

処方せんを患者さん宅に郵送し、患者さんが処方せんを薬局に持参して薬を受け取る場合

med-01.jpg

  • ※ 処方せんや請求書は、信書として郵送することをおすすめします。

 

処方せんを指定の薬局にFAXし、薬局が薬を患者さんへ送付する場合 

med-03.jpg

  • ※ 処方せん原本は、後日調剤した薬局へお渡しください。

5.4 患者さんへの案内・周知 

患者さんへの主要な案内方法は以下の通りです。1〜3のいずれか1つのみでなく、組み合わせての案内も有効です。

5-4-1.jpg
  1. 自院ホームページでの周知、ご案内

自院のウェブサイト上でオンライン診療の実施を周知するとともに、以下の事項をご案内いただくとスムーズに導入を図ることができます。

  • アプリダウンロード、登録方法のリンク設置
  • アプリの使い方のリンク設置
  • 予約方法・支払い方法のご案内
  • オンライン診療を行う疾患やオンライン診療を実施できない場合についての説明(急性疾患で対面が望ましい例など)
5-4-2.jpg
  1. ダイレクトメールの送付

来院歴がある方が主な対象となります。アプリのインストール手順書や患者登録用のQRコードを送付することで、簡単にアプリ導入が完了します。

  • ※ 患者さんの人数が多い場合は、「直近◯年間に来院歴がある方」などの方法で人数を絞り込む方法もあります。

 ​​

5-4-3.jpg
  1. 来院時にご案内 

来院された際に、アプリインストールの手順書や患者登録用のQRコードを渡し、アプリの導入と患者登録を行っていただきます。

  • ※ オンライン診察の対象となる疾患や、オンライン診察ができない場合についての説明、予約方法・支払い方法などについて、パンフレットや院内掲示ポスターを準備しますとさらにスムーズです。

 ​​

6. 参考資料

弊社が取りまとめている内容に加え、オンライン診療の実施にあたって参考になるウェブサイトや資料をご紹介します。
 

オンライン診療を適切に実施するための関係情報を厚生労働省がまとめて紹介しているウェブサイトです。対応医療機関のリストのほか、医療機関が電話やオンラインによる診療を行う場合の手順と留意事項についてのマニュアルを掲載しています。
 

日本プライマリ・ケア連合学会から、4月10日事務連絡に基づいたオンライン診療を実施する際のガイドが公開されています。オンライン診療の利点を活かしつつ適切な運用ができるよう、実臨床下におけるケースを例示して説明している実際的なガイドとなっています。